警察の腐敗・・・「悪魔と踊ろう」       ~尋問の儀これあり~

四万十川沿いの町で、仕事中の銀行員が殺害され現金を奪われたが、犯人は、警察幹部の親戚だった為、警察は「隠ぺい工作」を画策し、この事件の犯人を割り出した警察官(私)は、ミミズのように蒸し込まれた。

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警察の腐敗「悪魔と踊ろう」vol Ⅰ-5 四万十の淵で        

                   ●悪魔と踊ろう  vol Ⅰ-5        四万十の淵で





 午後5時を過ぎると、官公所の職員は一斉に建物の出口に向かい歩き出す。
まるで競争だ。

5時前頃から暗黙の内に、机の上を整理整頓して、いつでも帰れる準備をする。
まことにうらやましい。
警察で、その様な準備ができるのは女子職員だけだ。

 机の上を整理し始めた女子職員の目が、一枚の紙切れをみつけ凍り付いた。
慌てふためいた様子で、刑事課に電話をかける~

  受けた刑事もビックリ

      「四万十川の水中に、オートバイが沈んでいると~通報があったのを、
                           ・・・・・・・・・刑事課に連絡するのを忘れていたそうだ」

 午前中、警察署の一階公衆電話に市内の「金貸し」から、
鉄道工事の橋げたを建設しているあたりの川の中に、オートバイが沈んでいるのを

昨夜、ウナギをハサミに行っていた「金貸し」の友人が見つけ、
話を聞いた「金貸し」が警察に通報したものを、
刑事課に連絡するのを忘れ~そのままにしていた。

 そろそろ家に帰る時間になり、ふと机のメモ書きを見つけ、
あわてて、連絡してきたものだった。

四万十川流域に住む人達は川漁を好む、
夜にウナギが巣穴から出て、川底で餌を探しているのを
“ウバシ”と言うウナギを挟む専用のハサミで、挟み捕るため川底に潜りウナギ漁をする。


(ウバシ)
201006250641172b2s.jpg

(ウバシの頭)
2010062506420039cs.jpg


{鰻(うなぎ)を挟む(はさむ)→ウバシ}


(うなぎ)


(四万十川の河原)



 下流から上流へ・何度も素潜りを繰り返しながら、ウナギをとる遊びは多くの人がしている。
そのうちの1人が見つけたものを発見者の知り合いの「金貸し」が連絡した。

「金貸し」は、ヤクザじゃないが組を構えてないだけ、
実質は、ヤクザと同じ種類の人間 で、借金の取り立ても厳しい。

その「金貸し」が、何の為に警察に通報したのか、意味も無く警察に協力する様なモンじゃない。

警察は協力者には無条件で感謝する。が、人の言葉は、その人の行動より複雑で不可解なものである。
「金貸し」が~目的の無い行動を慈善事業的にやるはずが無い。
普通ならこの時点で、全てを調べるのだが~何もしなかった。

ただ川底にオートバイが沈んでいる、この事実だけに大騒ぎになった。
まず刑事課への連絡を怠った、一階の女子職員が攻撃のやり玉になり、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぜ忘れていたのか詰問された。

いつの場合も、無力な者を攻撃する時は威勢がいい。

  刑事課長を中心に
          「なぜ直ぐ報告しない。
              午前中に知っていたら、警察犬を放して捜索できたものを~・・」などと、


すでに川底のオートバイが、
失踪した銀行員が使用していたものと決め付け ~ワーワー騒ぎ出した。

よくあることだ、机上の評論家や弁士が多い、
加えて形式的な・お役人が・ほとんどだから、疑う能力が無い。

すでに午後5時30分を回っていた、いまから川に入っても何もできない。
明日、県警のアクアラング隊と、警察犬を手配して大々的に捜索することになった。

そんなら今日は、ビヤガーデンで一杯飲むか、とゆうことで机の上の店じまい~
昔の刑事は「どうせ酒を飲むなら、外で飲め」と、

警察以外の色んな職種の 人達と酒を飲み、人間関係を深め・自分の情報網を作ったものだ。

これを「はたけ」と呼び「はたけ」の大きさで、刑事の力量がはかられた。
~今、そんな風潮は無い。

        「どうせ飲むなら、組織の上役、警察幹部と飲み、コネを作っておくことだ」

1にコネ、2に金、3に要領、“三種の神器”があれば、出世は間違いない。

~タンス係長がその模範だ
あれだけの“芸術的馬鹿”が、トントン拍子に出世している。

目の前に最高の例がある。
・・アノ~お世辞に言っても~ただのバカ~ハッキリ言えば“キチ害”が係長だ。

~「はたけ」なんか、いくら作ったところで、
それを評価するだけの能力を持った上司がいない。

「はたけ」なんか~どうでもいい、コネと昇任試験さえ頑張っておけばいい。

    少なくとも現実はそうだ。・・・・数年前から・すでにやる気は無くなっていた。

ただ1つ、これは非常に悪い事だろうが、

1つだけ生き甲斐と言うか~興味が持てる仕事があった。
コロシだ。~もうこれしか面白いと思わなくなった。

“殺し”が面白いとは、何と非常識な不謹慎極まりない。言語道断な感覚である。
~わかっている、誰に言われなくても・異常なことは充分認識している。

が、この警察組織で生きている中で、もう“コレ”しか、やりがいを感じるものがなくなった。
コロシには、土壇場に立った人間の叫び声がある、そこにはコネも要領も無い。

ただ一点の刹那的な動きが、描写されている。

腐敗・堕落した警察のなかで、コレ以外に興味を持てる動きは無かった。
目の前に、その可能性が見える。
まだ口には出してないが、この時すでに 脳裏には、コロシの興奮が燃えていた。

この時点から食い違いがあった、組織の幹部としては、
できるなら避けて通りたいコロシが、
・・・唯一・・これしか楽しみが無いアホが一匹いた。

楽しみとは、あまりにメチャクチャな言い方だろうが、
正直~そう言うしか当てはまる適当な言葉がない。

刑事課の皆さんが、それぞれ家路につきビヤガーデンにでも行くまで、
むっつりだまって、指紋の整理をした。
皆さんが飲みに行った・その後で・即、別の行動を開始した。

四万十川の水の動きについて、川漁師から予備知識を教えてもらい、
明日以降に備えておこうと思ったわけだ。

四万十川には、川で生活しているプロの川漁師、
普段は農業や土方などをして、シーズンだけ川漁をする者、また趣味でやる者、など
色んな人達が、それぞれ川を楽しんでいる。

が、やはり川は海とは違い範囲が狭いので、
それぞれの区間に、ある程度の縄張り意識があり、無言のうちにルールが確立している。

例えば、夏の高知県には必ず台風が接近する、日本最大の清流と言われている四万十川は
泥色の濁流となり、狂ったように暴れ出す。一番好きな四万十川だ。

が、川と言うものは面白いもので、増水したときだけプールの様に、
まったく水が流れない場所がある。

こんな箇所は、川が大きくカーブした内側にできるもので
四万十川の上流から、数キロに一個所の割合にある。

川が増水すれば~するほど~水溜まりの状態になるので、
このような場所に川舟を係留すれば ~いくら台風が来ても、舟が流される心配がない。
・・・・・・~こんな場所を“舟着き場”と言う。

普段は普通に水が流れている場所を、どうして「舟着き場」と言うのか?
と、思うかもしれないが、川が増水すれば~湖のようになるのである。

この場所に、誰がどの様に舟を係留するか~等と言うような事から、それぞれにルールがある。
川と言うものは、地区分けごとに得意とする人がいるもので、明日から捜索する

鉄道工事の高架橋付近と、その前後付近に詳しい人は、荒川付近の住民である。





  荒川八幡宮を中心に発達した集落で、四万十市のなかでも歴史は古く、

ほとんどの人が農業に従事している。
したがって新興住宅地の様に、 よそから移り住んだ人達はおらず

先祖代々・この地に住んでいる人がほとんどを占め、
四万十川沿いで農業をしながら、川漁で副収入を得る、
まことに、うらやましい生活を送っている。

この中でも、川底の地形・水の流れまで知っている川漁師、
俗に言う “川師” と呼ばれている人は、数人しかいない。

川とは橋の下を流れるものだ。当たり前のことで・水は~高きより~低きに流れるが、
川底では違う、水面で見る水の流れと・川底の流れは異なるものだ。

  毎年、夏になると四万十川で、溺れ死んだ人を捜索することがある。
溺死者が水没した場所から~下流を探すのが普通だが、

水量や川底の形など、いろんな条件が重なった場合、
まれに~水没した場所より、上流で死体が見つかる場合があった。

・・・つまり~死体が川上に流されたわけだ。
いくら探しても死体を発見できない、こんな時・いつも見つけてくれるのは地元の川師だ。

川を知り尽くしている~水の流れを見るだけでは、鮎やウナギは捕れない。
水は上から下に流れているが、川底が変化している場合には流れが変わる。

この事を充分見極めなければ、川師とは言えない。
これまで溺死体の捜索で、川師には何度となくお世話になり、

何人かの川師と顔見知りになった。
彼らの知恵は、私の財産である、

地域住民に溶け込み、人と共に共存できる協力者を持つ~

昔の警察官は、これを 「畑」と呼び、畑を広げることが、刑事の能力を向上させることだと考えた。

今は畑を~組織内部に求めている。
上役と上手に酒を飲み~コネを作ることが出世のコツだ。「畑」なんか必要ない。

    この20年の間に警察は大きく変わった、

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・畑の無い刑事なんか、船の無い港と同じだ。

出来上がった事件を処理するだけの~処理屋にすぎん。等と思いながら
川師を数人訪ね歩き、四万十川の予備知識を吸収した。

もっとも・この日は、まだ事件とも何とも言わず
ただ川の流れ、川底の地形などについて聞いただけだった。

問題の四万十川を横断する鉄道高架橋の建設工事現場から
上流 約600メートルには通称「赤鉄橋」と呼ばれている四万十川橋、

下流 約300メートルには 国道56号線の渡川大橋がある。
つまり四万十川橋(赤鉄橋)・鉄道高架橋・渡川大橋 の3つの橋が、四万十川を横断しているわけだ。

川は最初の 四万十川橋(赤鉄橋)から、約900メートル下流の渡川大橋にかけ
ゆるいカーブになっており、鉄道高架橋の工事現場付近がカーブの内側にあたる。

四万十川が大雨で増水した場合、
カーブ内側の鉄道高架橋付近は、四万十川の対岸に当たった水が大きく跳ね返る様に

「逆巻き」と言われる現象が起こり、カーブ内側で水が~ 下(しも)から 上(かみ)に逆流して

湖の様な~流れの無い状態となることから、

鉄道高架橋付近は、川が増水したときに・舟が流されないよう係留する
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~「舟付場」と呼ばれている。

また~この建設中の鉄道高架橋は、横断する四万十川の中に3つの橋げたがある。
この内、一番東側~つまりオートバイが発見された橋げた付近には、

建設工事のため~大きなコンクリートの固まりが沈んでおり、
ここに 網でも打つと、網がコンクリートに引っ掛かり、ズタズタに破れる。

いわゆる~“根(ね)がかり”~する場所なので、“漁をする者は近寄らない”と言うことだった。

川漁をする人の感覚で、あまり近寄らない場所に、オートバイが捨てられている。
これだけでも収穫があった、明日から四万十川で捜索が始まる。

今の時点で、これだけの予備知識があれば充分だ。
全ては明日からだと思いつつ家路についた。

 長い戦いの前哨戦が始まった。
今でもこの夜のことは、ビデオテープのように記憶している。
なぜなら、~帰りに、近道をしたからだ。

荒川地区の川師宅から四万十市内に帰るには、1ヶ所だけ近道できる道がある。
荒川八幡宮の南側を 国道56号線に抜ける小道を登ればいい、

この小道を車で走った。
途中~道路沿いに、漬物用の重石に使う石を数個置いている家があった。

こんな所に、漬け物屋があるんだろうか?と思いながら通った記憶がある。
この家こそ 目指す犯人の家だったのだが、このときは知る由もなく、数週間後に気付いたとき。

なんと最初の夜、犯人の家を何の警戒もせず素通りしていたわけだ。
翌日から、この家の前付近を大勢の警察官が大挙して捜索活動を開始する。

つまり犯人は~最初から~警察活動の一部始終を見ていたことになる。

的外れの捜索活動を見学しながら、内心どのような心境だったのだろう。


 

 翌日、県警のアクアラング隊が、四万十川の河原に集合。
中村署員と合流し捜索活動を開始したのは、昼前ぐらいからだった。

今朝のテレビで、南方海上に台風が発生したことをニュースで放映していた。

台風が上陸するか、接近するまでに1週間はある、それまでが勝負。
台風で四万十川が暴れ川になったら、全てを押し流すだろう。

今日、これから引き上げるオートバイが、失踪した銀行員が使用していた
一国銀行のものなら、直ちに四万十川河川敷を捜索しなければならない。

膨大な広さだ、この真夏に大変な作業になる。
急がねば、と思う気持ちが現場付近に足を運ばせていた。

アクアラング隊が現地に集合し、捜索が開始されるまでの間、
1人で現場付近を歩き廻った。

建設中の鉄道高架橋は、四万十川の中に3つの橋げたがある。
この内、1番目の橋げた外側(岸側)にオートバイが沈んでいる。

橋げた付近は、増水した際の水流がコンクリート外壁沿いに~ 物凄い勢いで下方に流れるため、
その水圧で川底の石や砂利が、その部分だけエグリ取られ、

大きく掘れ込むので、橋げたの上流部分の水深は4メートル位、
下流部分は2メートル位、その他の箇所は3メートル位、
橋げたを中心に、すり鉢型に掘れ込んでいる。

すり鉢は、小石と砂利で形成され、
歩くとアリ地獄のように、ズルズルと川底に沈んでいく危険な場所だ。

この上流は、急激に浅くなり入り江になっている。

川が増水するとカーブの内側にあたる場所で、
四万十川の形状から、増水し勢いよく暴れ廻る水が、この場所に逆流する

「逆巻き」と言われる現象をつくりだすので、
この場所に川の水が大量に流れ込み、土を削って入り江になった訳だ。

水が湖のように溜まるので、舟が流されることがなく、
台風で増水した際・このあたりの舟が、ここに避難してくることから
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「舟付き場」と言われている。

舟だけでなく、魚・ウナギ等も暴れ川から逃れるため集まって来るが、
それは水深が深く、川底から水面に水が縦に動く、橋げた周辺に集まる。

そこにオートバイが沈んでいる。おかしな所に沈んでいる。どう考えても不自然な場所だ。
とにかくオートバイを引き上げることが先決だ。

 あれこれ考えているうちに、アクアラング隊や中村署員、
約20名が集結し捜索が開始された。私はカメラを構え証拠写真を撮影する準備をした。
アクアラングの隊員2名が、潜水の準備をして四万十川に潜った。

まもなくオートバイが川底から引き上げられた。

        ホンダ・スーパーカブ   50CC  青色

失踪した銀行員が使用していたバイクと同じ型・同じ色。

引き上げ作業を 約30メートル位 はなれた岸から見て、
背筋がゾットとする感じがし、ただ唖然と作業を見ていた。

川底から引き上げたオートバイは、そのままズルズルと岸まで引き寄せられ、
岸で待っている2名の刑事課員に引き渡された。

引き上げて、岸に近づくバイクを見ると、ナンバーと後部荷台の箱が無い。
指紋を付けないよう、細心の注意をしながら車体番号を調べると、

やはり失踪した銀行員のバイクだった。
脇の下から背中にかけ一瞬寒気がした。

真夏の昼前に、このような経験は後にも先にも、この一瞬だけだった。
やはり銀行員は殺られている。

    額に汗を流しながら、背中で寒気を感じる変な感覚で、バイクの車体番号を見据えていた時、

           誰かが言った・・・「流れてきたんだろう」この一言で我に返った。
     

 流れるわけがない。~ここは「舟付き場」だ、
川が増水すればするほど、水が“逆巻き”になり、水の上に浮いている舟や木の葉でさえ流れない。

だから“舟付き場”と言うんだ、そんな場所で、どうしてバイクが流れてくるか。
馬鹿も休み休み言えとはこの事だ、推測で喋るな。ボケ。

思わず怒鳴りたくなったが、こんな所で何を言ってもはじまらん。

とにかく川底からバイクを引き上げた者から、
沈んでいた正確な場所を聞き出す事が先決だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~聞いて二度ビックリ。

バイクは、川師が言っていた「根がかり」するコンクリートの固まりに寄り添う様に
ピッタリ・ひっ付いた状態で、“上流へ~バイクの頭を向け”沈んでいたと言う事だった。

 四万十川が増水し暴れ川になった時、怒涛のごとく流れる濁流から逃れる魚やウナギは
「逆巻き」現象が起こる水深の深い場所に集まり、水が引くまでじっと待っている。

バイクが発見された場所がその箇所だ。

そこに網を打てば、鮎や鮒またウナギ等が取れる。が、バイクが発見された箇所は

・・・・・・・・・・・・・・・・「根がかり」が有り、誰も網を打とうとはしない。

この「根がかり」にピッタリ・ひっ付く様に、しかも川の上流方向にむけ
失踪した銀行員が使用していたオートバイが沈んでいる。

つまり川漁の感覚で、発見され・にくい場所にバイクが沈んでいた。

しかもバイクが上流へ向かう形なら、川の流れが“きつく”なっても~
~このバイクの姿勢(沈んだ形)は、変わりにくい。

川底を熟知している川師でなければ、こんな所に捨てるわけがない。
それを~夜、ウナギを挟みに来た人が発見して警察に通報したわけだ。

・・・何から何まで、あまりに~できすぎた話だ。私はそう思う。・・が、そう思ったのは

~私一人だけだった。
  
 

  真夏の日照りが長く続いた場合、ウナギは岸の近くまで出てくる事がある、
エサになるエビ等が~岸に近づくからだ。~(水深 1メートル前後)

夜ウナギを挟む場合、それほど深く潜る必要は無く(深みには少ない)
岸に近い小石や砂利の上で、ウナギを見かけることが多い。(エサ→エビが岸に近づく)

それを、岸から 20メートル位はなれた 水深3メートル位の川底まで、よく潜ったものだ、
しかも今は闇夜だ。

川を知らない人に、闇夜と言ってもピントと、こないだろう、
月には月齢と言うものがある
満月・新月と言えば判ると思う、この月齢で潮の満ち引きが変わる。

海なら潮の変化しか気にならないだろうが川の場合、

特に四万十川河口に近い、この四万十市を流れる四万十川には
海の潮が川に入り込んでくることから、月齢が川漁に大きく作用してくる。

新月、月が新しくなる時、満月の様な輝きは無い。闇夜とはよく言ったもので、
この時期の夜、川にいけば墨絵の様な漆黒の暗が無限に広がっている。

それも大きな木の下や、橋の下などは、月や星のわずかな光さえ奪い去り
半端な暗さじゃない、大袈裟でなく~自分の足が見えないぐらい暗い。

オートバイが発見されたのは、鉄道高架橋の橋の下だ。
川面でさえ漆黒の闇.

その下・水深3メートルで何が見える?~水中用のライトを使ったとしても難しい。
~ウナギを挟みによく潜ったものだ。(強い光を使うと、当然ウナギは逃げる)

オートバイが沈んでいた場所、それを発見した動機、全てが、できすぎている。不自然だ。
が、あまり考えている余裕はなかった。指紋を付けない様に細心の注意を払い
警察署までオートバイを搬送しなければならない。
  
 輸送車に積み込み、倒れない様固定する。
やることは、いくらでもあるが、あまり大勢ではやりたくない。

荒らされるからだ、誰かが不注意に触ったら、その部分の指紋が消えてしまう。
誰にも触らせたくない。全部1人でやりたいぐらいだ、~確実に固定した。
汗で服がビショビショになった。

その時、1人の地域課の警察官が走ってきた。

           「下流にある渡川大橋の手前、水深1メートル位の川の中で
              オートバイの ナンバープレートが発見されたそうです
                         確認して、写真を撮ってくれと言っています」



下流に下ったアクアラング隊が発見したものだった。

ここから渡川大橋までは 約300メートルの距離、ほぼ直線である。
またしても四万十川の中から見つかった。

もしそれが発見されたオートバイから取り外されたナンバープレートなら
失踪した銀行員は、間違いなく殺られている。

はやる気持ちを押さえたつもりで四万十川沿いの河原道を、力一杯アクセルをふかし
現場で車のブレーキを踏んだとき、スリップしながら急停車した。

後輪を振り、前輪が直角に回転して、危うく四万十川に転落するかたちになったが、
フロントガラスの前にアクアラング隊員が、渡川大橋前約30メートル、

川岸から 約15メートルの川底に両足を踏ん張り立っている。
膝まで水につかり真下を指差し、この下で発見したとのジェスチャーである。

水深 約50センチメートル。いくらなんでも浅すぎる。
すぐ目につく所だ、

・・・・・・・・・・まさか銀行員が使用していたバイクの ナンバープレートじゃぁ~ないだろう。
と、思いながら

~「これです」と言い・・・~差し出されたプレートに注視した。

まさに注視だった、恐る恐る見詰めた。

         「中村市 あ ・167」

まぎれなく失踪した銀行員が使用していたオートバイのナンバープレートだ。
~しばらくぼんやりしていた。

ナンバープレートが発見された箇所に人を立たせ、写真撮影し場所を特定した。
岸からあまりに近すぎる。

         またもや誰かが言った。~「そこまで、流れたのだろう」

 オートバイと同様に上流から流れた、との推測である。~絶対流れない。

ナンバープレートのような~薄い金属製の板を流すには、川底から巻き上げる様な濁流でなければ流れない。
いまは~うだるような炎天下。雨は一滴も落ちてない。
しかも、オートバイとナンバープレートの間は 約 300メートル。・・・・・~300→流れるかボケ。

  何もかも自分の頭で考える推量が先行している、



 例えば雨の日に~ひき逃げ事件があった場合。
雨で車に付着した人間の髪の毛なんか、流れ落ちるに決まっている、
~と先入観が先行する。

・・・・・・・・・人が思い付きで、物事をかってに~ねじまげている。

雨で車体にくっ付いた人間の髪の毛は、時速100キロメートル以上で走ろうが、
デコボコ道を走ろうが、まず落ちない。
  

 ドイツに面白い小話がある、仲のいい友人が2人で山道を散歩していた。
途中いろんな小鳥が空を飛んでいる様子を話題にし、時々空を見上げながら散策していた時、

1人が「鳥の死骸だ」と言った。

もう1人の友人は「どこだ」と言いながら空を見上げた。
鳥の死骸が空に浮いているはずが無い。が、鳥と言う言葉だけで

次の瞬間に取った動きは、ふと~空を見上げた。

ドイツ人らしい教訓を含んだ小話だ。
  

 人間の頭には、目が2つ、耳が2つ、鼻の穴が2つ、それぞれ2つある。
が、口だけは1つしかない。1つしかないのは口だけだ、数が少ない。

     ~人が口で喋る時は、2つの目と耳をよく使い・充分に考えて、
        ~1つしかない口を助けながら喋るものだ。

頭の回転が悪い奴は、特に注意する必要がある。が、悪い奴ほど感じないものだ。

 ここで何を言ってもはじまらん。
とにかくオートバイとナンバープレートを本署まで搬送することにした。

2つ共よく乾燥させて、無駄と思うが指紋を出してみる。

  
  本署の別棟に死体を安置する霊安室がある。密室であり強力なエアコンが設置されている。

死体を保護するためだ。

ここにオートバイとナンバープレートを運び込み・エアコンをフルに可動させた。
エアコンの冷風を最大に出して、少しでも早く乾燥さすため、そしてもう1つ、

時々見学に来る署の幹部を寒さで早く帰らす為にちょうどよかった。
まず~カラカラに乾燥さす、次に指紋採取。

が、数日間、水が流れる川底に放置されたオートバイやナンバープレートから
指紋を出すことは、まずできない。


ただ~何かやらなくちゃ~カッコウが取れない。
それだけだ、指紋採取もやりました。やっています・やりました・と報告する。

目的は報告、しかも本部向けの報告は何より優先する。

まず明日の朝まで、エアコンを付けたままにして乾燥さす。
明日一勝負やるか、等と1人で計画を立てていると

・・・・・・・・・・・・・・「全員会議室に集合せよ」との署内放送があった。

何事かと思い、霊安室に鍵をかけ会議室へ急いだ。

 およその見当はついていた、おそらくオートバイが発見されても、即、それが事件だと
断言しない様、またオートバイの発見に関しては極秘にする。

この程度の注意だろう、どうせくだらん話だ。
1日中・暑い河原の上で捜索活動をし、汗を絞り出した後。

次は真夏のカゲロウのような、実態の無いバカ幹部がアホな諸注意をダラダラ言いくさる。
このクソ暑い部屋で。

いいかげん気分が悪いのに、今日の仕上げが・この会議室で閉めの儀式だ。

ええかげんにせえ~糞ボケ、

汗くさい臭いのする半袖シャツを脱いだ 95キロの体に、
下着が汗と一緒にへばりついていた。

これが悪いクセだ、
無言で、ふて腐れた態度を取る。自分でも悪いとおもうが、
と言って~それほどヘツラウ様にコビフル事も無い。そもそも警察の雰囲気は嫌いだ。

最後の列の椅子に汗を拭きながら座っていると・署長と、課長さん3人が入って来た。



  署長さんが壇上から訓示

       「今日オートバイが発見され引き上げてきたが、
              これはオートバイを放置した者しか知らない秘密である。
   
           したがって、この事は絶対に他言は無用、“家庭でも内緒”にしてくれ。
           またオートバイが発見されたと言っても、
                                        これで~ただちに~“事件だ" と、決まった訳では無い。
   
                    ・・・その事を充分考慮して、無用な言動は慎む様注意してくれ。」



 思ったとおりだった。

  署長に引き続き各課長から、それぞれ注意事項が訓示されたが、要点は同じ。


   オートバイの事を喋るな。
       これはまだ事件と決まった訳では無い。
                    ・・・~この2つだ。








「事件とは言うな」「オートバイも知らない」「家に帰っても喋るな」~闇夜のカラスが鳴きだした。
           
                   ・・・~・・・・・・この頃から全てが、始まっていたんだ。
                                          (中国や北朝鮮と同じやぁ~)




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テーマ:これでいいのか日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2007/11/27(火) 06:09:32|
  2. 悪魔と踊ろう vol Ⅰ-5 四万十の淵で
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